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近況報告 石の上にも3年
工学系 准教授
九大へ着任してもうすぐ2年が経過します。着任後は、メンターである教授の講座に組み込んでいただき、教育研究と研究室運営についてご指導いただいております。研究所を渡り歩いてきた私にとっては、大学の何もかもが新鮮で、何もかもが未知の領域で、何もかもが楽しくて、何もかもが不安で・・・とにかくジェットコースターに乗っているような毎日です。
私はとても恵まれたことに、部局から実験室を準備していただいています。着任当初は何もなく、卓球ができそうだと言われたものです。私の教育方針は、「自分の研究に必要な装置は自分で作る」です。もちろん、すべてではありませんが、試料合成装置でも、性能評価装置でも、学生が自ら考え設計することで材料と物性の本質的な理解につながると考えています(要は考えることが大事)。現在、実験室には着任後すぐに受け持った学生(修士)が設計し組み上げた大作(測定装置)が鎮座しています。これを使っていた外国人女子留学生は、感謝の意味を込めた1輪の花を装置に置いて帰国しました。初見はびっくりしましたが、じわじわととても暖かい気持ちになったものです。
理工学系に限ると、まだまだ女性の占める割合は少ないのが現状です。理工学系で活躍する女子学生を育成することは大切なミッションの一つであり、そのためにはまずこの分野への進学を促進することが重要だと考えています。私は友人の女性教員と、女子学生を対象とした小さなイベントを開催し、科学講演会や座談会を通じて理工学系の楽しさを伝える活動を続けています。
とはいっても、研究者としては成果を論文発表し研究費を獲得することは、忘れてはならない当たり前の仕事だと思っています。大型研究費に手を出しては不採択で落ち込むことが続いておりますが、一方で、他部局のメンターの先生のプロジェクトに参画させていただいたり、会議で知り合った文系の先生と文理融合の共同研究を立ち上げつつあったりと、少しずつですが、人との出会いによって研究が広がっているようです。何事においても、縁は大事にしないといけないと再認識しているところです。
種をまき続ければ、いつか花開くと信じています。そして、その花は、九大の中では唯一無二であるよう、精進していく所存です。