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「近況と抱負 ―育児との両立を目指して―」
医歯薬学系 助教
九州大学に着任して丸2年が経った。実験台も何もない部屋からのスタートで、始めの1ヶ月は毎日カタログとにらめっこをし、業者とのやりとり、購入機器類の配置等、ほとんどの時間をラボのセットアップに費やした。しかし、セットアップに必要な費用は改革加速事業と所属部局からサポートされたため、研究費については全く不安を感じることなく研究を立ち上げることができた。
以上のように研究環境を整え、いよいよ新しい研究テーマを立ち上げたが、研究に関してもメンター教員をはじめとする諸先生方からの多くのアドバイスのおかげで、スムーズに新テーマをスタートできた。また、メンター教員の研究室に所属する学部・大学院学生の指導をさせて頂き、助教として学生を教育しつつ、一年目にして3報の論文を発表できた。
研究費については、上記のように多大なるサポートを受けているが、研究者として自立するためには自ら申請書を書き、予算を獲得することも必要である。着任一年目の秋に科研費を申請するにあたり、本事業で採用された教員のために開催された科研費応募についてのセミナーに参加し、申請書作成における注意点やポイントを学ぶことができた。科研費の申請経験が全くなかった私にとっては非常に有意義なセミナーであり、おかげで無事に採択された。
このように、研究環境の整備、テーマの立ち上げ、そして研究費の獲得と、本事業をはじめとする周囲からのサポートを受けて、順調に研究が進み始めた着任2年目にさしかかったところで妊娠が判明した。これからという時期だっただけに、周りに迷惑をかけるのではと心配したが、メンター教員の先生にも事情をご理解いただき、本事業担当の先生からも暖かい激励の言葉をいただいた。さらには、出産・育児期支援で研究補助者を雇用できる制度があることを知り、その制度を利用することで出産直前まで研究に打ち込むことができた。日本の社会では、今でこそ出産・育児をサポートする制度が整備されつつあるが、それでも女性にとっては仕事との両立が難しい状況が残っている。妊娠中の活動の制約は研究の停滞にもつながりかねないことから、研究補助者を雇用することで出産直前まで研究が継続できる環境は女性研究者にとって非常に重要であると思う。
産休・育休合わせて5ヶ月の休暇を取得後、職場と同じキャンパス内に設置されている保育園に子供を預けながら、今年の4月に仕事復帰した。保育園が同じキャンパス内にあることから、いざという時にはすぐに迎えに行くことができ、またお昼休みに様子を見に行けることから、安心して仕事に取り組むことができている。子供の急な発熱・体調不良で、仕事を休まなくてはいけない時もあるが、周囲の方々のご理解もあり、なんとか仕事と育児の両立ができている。
今後も、周りのサポートを頼りながらも、研究と育児を両立させ、女性研究者が安心して働ける環境作りに貢献したい。